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大嶼山/ランタオアイランドは香港最大の島だ。それなのに、新空港ができるまでは、自然に恵まれつつも、過疎の島だった。もちろん、開発が進めばよいというものではない。自然保護と開発促進のどちらが住民にとってはよいのか、余所者は余所者なりに、迷ったり悩んだりしながら大嶼山の2大名所を梯子した。
過去へのトリップ
度重なるトラブルに見舞われ、ようやく開通した昂坪360のロープウェイは、快適だった。秋という時期にもよるかもしれないが、揺れることもなく、一気に突き進む感じだ。
定員は17人。10人は坐り席、7人は立ち席。
ただし、人数が少ないときには坐り席のみ。時間帯によっては2人だけでの貸し切り状態もある。
東涌から乗車するとまずは新空港のある赤 角へと渡る。新空港の建設によって島の形が一変してしまった赤 角の、唯一箇所だけ残された丘の一部が、再び大嶼山へと向かって角度を変える中継所になっている。
――さかのぼること10数年、赤 角が新空港の建設地に選定された頃、2度ほど訪れたことがある。いまマンションやショッピングセンターが立っている東涌駅の周辺は、野良牛がうろついている荒
涼とした地だった。また、海岸沿いには、大嶼山の西部に位置する大澳と同じく、水上家屋が立ち並んでいた。『香港パラダイス』(90年)という映画で、主演の斉藤由貴が事件に巻き込まれ、東涌の水上家
屋に逃げ込む、というシーンがあった。
当時は東涌から赤 角を見遣ると、うっそうとした小島でしかなかった。渡し船が着いたところには、空港建設反対の横断幕がはためいていた。小さな島にもかかわらず、新石器時代から唐代(618〜907)にかけての遺跡があちこちにあって発掘が続き、さらには、指の先くらいの世界一小さいロメール氏モリガエル(アオガエル)の貴重な生息地だったのだ。カエルは移住させるなどして保護された一方、遺跡は埋め立てられてしまった――
そんな思い出に耽りながら、中継所から大嶼山へと大きくカーブを切る。
大仏にカラス鳴く
海の上を行くロープウェイの右手後方に、広大な新空港が一望できる。次から次へと飛び立つ機影がミニチュアのようだ。航空マニアにはうれしいポイントかもしれない。前方は香港特有の岩質の山々が連なる。とはいえ、普段見慣れたビル群とは異なり、緑が目に優しい。山にさしかかると路線の真下に沿い、いささか険しい遊歩道が整備されており、健脚家たちが三々五々歩いて登っている。
2番目の中継所である弥勒山を越え、左手に大仏の横顔が見え始めれば、間もなく20分あまりの空中周遊も終点に近づく。降りたところはいかにも映画のセットのような古い町並みが美しく再現されており、レストランやショップとなっている。町並みを通り過ぎて10分も歩けば、大仏に辿り着く。大仏の台座で、香港では珍しく、カラスが鳴くのを聞いた。久しぶりに懐かしい気持ちに襲われた。御仏のご利益かもしれない。
ちなみに、ロープウェイは乗るのも、チケットを買うのも並ぶので、香港、銅鑼灣、尖沙咀、九龍塘の各MTR駅で事前に購入してから出掛けたほうが、多少なりとも時間を節約できる。
香港ではないDL
狭い狭いといわれる香港ディズニーランド(DL)だが、大嶼山の2大名所を1日で梯子するにはちょうどよい広さだ。午後から入場しても花火まで観切ることができるのだから。かりに、週半ばに訪れたため、混雑していなかった、という点を考慮に入れないとしても。
それに、人が住む地域と隔絶されたロケーションは、「夢の国」の演出としては最高ではないか。欣澳の駅でDL行きの電車に乗り込んだ瞬間から、日常とは切り離された時が刻まれる。DL駅に降り立つや、確かにそこは香港ではないと思える。
年間パスポートも売り出された(それを使って入場する際には IDカードや旅券などの提示が求められる)。新たなアトラクションも増えてきている。08年には「Its
a small world」も完成予定だ。
季節のイベントも充実。12月31日まではクリスマスイベントとして、タウンスクエアに18メートルのクリスマスツリーが飾られ、午後6時にはメインストリートUSAに雪を降らせる。クリスマスコスチュームのキャラクターは言わずもがな。大晦日は翌1月1日午前1時までの営業だが、通常チケットで入場でき、カウントダウンでは普段より盛大
な花火が打ち上げられる(以上いずれも予定)。
昂坪360もDLも、非日常の香港を楽しめる場所ということは、間違いない。 |